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君に想いを、剣に誓いを。(第一部)

君に想いを、剣に誓いを。(第一部)008 『綾音。そして新城家』

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 少女と目が合った。焦げ茶の瞳に明るい栗色の髪。だが、特筆すべき点は黒のゴスロリを纏っていることだろう。

「あれれ……お客さん。しかも、見ない顔」

 彼女は可愛らしく首を傾げる。その際、指を頬に添えているのだが、そんな些細な仕草ですら、可愛らしさがある。

「綾音。入るときはせめて呼び鈴を鳴らしてくれ。ていうか、そもそもどうやって入ってきた?」

 風見が呆れを混ぜた声で問う。すると、綾音と呼ばれた少女は頬を膨らまし、

「どうせ呼び鈴鳴らしたって、風見ちゃんは出ないじゃん」

「うっ」

 風見が言葉に詰まった。前科があるのだろうか。

「で、そんな些細なことはいいの!」

「……些細なのか? いや、下手すら家宅不法侵入なんだけど。ていうか、もう一つの質問に答えてもらってないし」

 などという、風見の呟きは、当然のごとく彼女に無視され、

「ねえ、紹介してよ」

 綾音の体は何時の間にか目の前にあった。思わずどきりとしてしまう。

「それはそうだね。じゃあ、綾音、紹介しよう。彼は新城祐樹。銀嶺学園の――」

「新城……」

 綾音が目をすっと細める。

「へえ……君が。風見ちゃん。もう、紹介はいいよ」

「はいはい」

 風見は軽く肩を竦め、優雅な仕草で紅茶を飲む。相変わらず、綾音の視線は祐樹を向いたままだ。

「話の続き、しないの?」

「邪魔をしたのは君だよ、綾音」

「そうだっけ? まあ、そんな細かいことはいいじゃない。で、なんの話をしてたの?」

 綾音のあっけらかんとした態度に諦めの表情を浮かべた風見は綾音に座るように促してから、

「神技の話だったね」

「ああ。それで、俺の夢の理由を言おうとして」

「あたしが入ってきちゃったわけかぁ。ごめんね、祐樹ちゃん」

「祐樹……ちゃん?」

 霧香が愕然とした表情をしている。

「綾音は誰でも彼でもちゃん付けで呼ぶ癖があってね」

 そう言ったのは風見で、苦笑していた。綾音は頬を膨らませて、

「その方が可愛いじゃない」

「はいはい……で、話戻そうか」

「そうだな」

 祐樹は頷き、そしてさっき言いかけた言葉を口にする。

「つまり、オルカは俺の前世ということでいいんだよな?」

「正解だね。補足すると、君の家系は代々オルカの血を引いている。でも、過去世の記憶を持っているのは君だけのようだけど」

「そうなのか?」

「僕の知る限りでは。まあ、だからと言って異能の力がなかった訳でもないけどね。小さいながらも、血を受け継いだものは力があった」

「ッ!? それは……親父もか?」

 初めて聞く事実に祐樹は驚き、思わず聞いた。風見はしっかりと頷いて見せ、

「君の父君の力は《分析》。触れた対象の情報を読み取り、理解することが出来る」

「だから、警察をやってるのか……」

 線が細く、一見頼りなげに見える彼がどうしてそういった職業に就いているか、今まで疑問に思っていたが、それが氷解した。

「しかし、すると思った以上に俺の家系ってのはお前たち魔封師寄りなんだな」

「確かに、魔封師にこそなる人はいなかったけど、本当に僕たち寄りだよ」

「結構、身近にいるものなのね。驚きだわ」

 嘆息しながらの霧香に、綾音が笑いながら、

「覚醒していないだけで、転生者である人はもっといっぱいいるけどね」

「なんか、常識が崩壊してく……」

 大仰に嘆いてみせる彼女に祐樹は苦笑し、それから表情を引き締める。

「今までの話からすると、俺にも力があるってことだよな?」

「そう……だね。聞きたい?」

 風見も表情を真剣なものにし、問いかけてくる。

 祐樹は逡巡した。それを聞いて、自分はどうしようというのだろうか。

 しばらく悩み、それから祐樹は首を横に振った。

「いや……聞いても仕方ないことだな」

「……わかった。君がそういうなら言わないでおくよ」

「祐樹……」

 風見のどこか優しい微笑みと霧香のほっとしたような声。

 これでいい。聞かずとも、力を所持しているのは厳然とした事実ではあるのだろう。しかし、聞いてしまえば、それを使うか使わないかという選択肢が出てきてしまう。

 今まで通りの暮らしをするためには無駄な情報。

「アーデルの件は僕たちに任せておいて欲しい。多少、不便をかける可能性もあるけど、早期に解決する」

「そうだな。あいつのこともあったんだよな。でも、俺じゃどうしようもない。頼む」

 頭を下げる。

「ああ、君のことは僕が護る」

 ゆっくりと、刻むように風見はそう口にする。

 顔を上げて見た彼女の表情は優しく、そして瞳に宿した決意は固かった。

「あたしも、祐樹ちゃんと霧香ちゃんのことは護ってあげる。だから安心して」

 綾音もまた、笑ってそう言った。
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